NPO法人「さど」は、佐渡島の自島の自然環境や価値資源が生命力を持って、残されている“今”を”未来世代”につなげるた様々な活動をしています。

文化

佐渡島の文化、環境、農業を通して、より広いより深い交流活動を推進。

国府が置かれた8世紀から佐渡には、世阿弥や日蓮、順徳上皇、小倉実起らが流されてきました。その流人たち(皇族・貴族)は中央の高い文化を島にもたらしたのです。加えて、北前船の寄港地だった佐渡は様々な文化と富の交差点でもあったといえます。

島外の皆さんに意外に知られていませんが、佐渡の文化には3つの特徴があります。
1つは順徳上皇や日蓮聖人、世阿弥などの知議階級の流人達がもたらした「公家文化」 が、国仲地方に根を張っていること。2つは佐渡金山の発展に伴って江戸からもたらした「武家文化」 が、相川地方に根を張っていること。3つは商人らがもたらした「町人文化」が、廻船地だった小木地方に根を張っていることです。
これら3つの文化が合わさり、佐渡独特の文化が形成され、食・習わし・祭りなど地域ごとに個性がもたらされてきました。

世阿弥もびっくり、日本でも有数の能の島

ここで、意外に知られていない佐渡のお話しをしましょう。皆さんは佐渡が日本でも有数な能の島であることをご存じでしたでしょうか。世阿弥が流されてきたこと。能の島という佐渡を認識されておる方は意外に少ないようです。実は2009年の秋にJR東日本「大人の休日倶楽部」で吉永小百合さんが佐渡のCMで登場しました。ここで、その時の吉永小百合さんのCM台詞をご紹介しましょう。
「♪アマポーラー♪~♪」の音楽とともに夕日が美しい海に浮かぶ佐渡島が移り、やがて能舞台の会場に入ってきながら台詞が流れてきます。

JR東日本 CM情報 をみる

そうなんです。佐渡島には800以上の寺社をはじめ歴史的建造物が沢山あります。なかでも吉永小百合さんを起用して「大人の休日倶楽部」の宣伝に使われた能舞台はかつて200以上もありました。今では30ほどになりましたが、世阿弥の配流の地にふさわしく全国の野外能舞台の三分の一が佐渡にあります。

撮影舞台となったのは旧真野町にある大膳神社、ここでは神社の神事として昔から薪能、狂言が演じられてきました。かつて天皇、皇后両陛下、秋篠の宮殿下、妃殿下も能を鑑賞したこともあり、江戸末期の建造物で茅葺屋根の佐渡島を代表する美しい能舞台です。なにより素晴らしいのが島人により能が演じ続けられていること。昼間、田んぼで農作業していた人や魚を取っていた人たちが練習をして、シテやワキを務めています。実は、佐渡の能は田植えが終わった6月から始まり稲刈り前の10月上旬に終演となるんです。

ところがこのポスターのお披露目は9月、CMのテレビオンエアは10月。せっかく多くの人に佐渡の薪能を知ってもらっても、「翌年の6月まで公演はありません」と、まさかそんなことも言えず、島内では急きょ10月に二週にわたって追加公演をしたそうです。もったいない話ですがそうなんです。

静寂と暗闇に包まれた頃、二人の神子が松明をもち火入れの儀式が行なわれ、いよいよ演目の始まり。季節の風、香りを味わいながら自然の中で演じられる佐渡の薪能は屋内の能楽堂では感じられない独特の世界観に包まれます。赤々と燃える篝火に照らされた能舞台に幽玄の世界が繰り広げられる薪能、神秘であり優美、時に妖しい魅力を放ちながら、繰り広げられる佐渡の薪能はとても魅力的なんです。この薪能を見た世阿弥はどんな顔をするでしょうか…。