代表理事 北條 規
理事 臼木 悦生
豊かな自然に恵まれ、歴史と伝統に育まれた佐渡島は「日本の縮図」と言われ、数百年もの年月を経て受け継がれてきた先人たちの智恵が蓄積されながら佐渡島独特の経済・文化を支えてきました。京から流された都人が都の文化を伝えたことや、北前船の西廻り航路が開かれ、西日本や北陸の文化が伝わってきたことによって、貴族文化や武家文化、町人文化が一体となって、佐渡特有の文化を形成していったともいわれています。しかし、日本の地域が抱える共通の課題である少子高齢化、過疎化の進行は深刻な状況となっています。島の人口は毎年1000人ずつ減少、限界集落は17%と、朱鷺は増えても人が減っている、深刻な事態となっており、長い歴史に育まれてきた宝島佐渡は特有の文化や伝統も失われつつあります。
そのような状況下ではあるものの、佐渡島には日本の伝統的資源を活用した暮らしのスタイルがまだ何とか残されています。朱鷺と共生する里地里山の自然環境、中山間地の棚田農業、能に代表される伝統芸能、能舞台や寺社などの歴史的建造物、さらには各集落ならではの食文化やものづくりの手技等、代々受け継がれて今日の暮らしに活かされています。
私たちNPO法人「さど」は島の環境や資源がまだ残されている今だからこそ、未来世代に豊かな佐渡島を残す最後のチャンスと位置づけ、生涯学習型の学び舎「佐渡朱鷺大学」を開校しました。首都圏と島を結ぶ架け橋となって、佐渡の魅力や課題を発信し、交流人口の拡大を中心とした島の活性化に取り組んでいます。講師陣には環境、文化、芸能、などその道のスペシャリストの皆さんをはじめ、佐渡の農家・漁師・料理人・食通の方々などいろんな人たちにも参加していただき、知られざる佐渡島の魅力をお伝えしていきます。この活動が島の未来づくりの大きな波になれるよう、ひとつひとつ積み重ねていきたいと考えています。